コロッケそばは大阪発祥?関東では定番なのに大阪で少ない理由と食べられる店

グルメ

「コロッケそば」と聞いて、どんな一杯を思い浮かべますか?

温かいそばの上に、揚げたコロッケをドンとのせたもの。最初はサクッとしているコロッケが、時間とともに出汁を吸ってしんなり。最後にはじゃがいもがつゆに溶け込み、まったく違った味わいになります。

東京をはじめ関東の立ち食いそばではおなじみですが、大阪では意外なほど見かけません。

筆者も大阪在住ですが、「きつねうどん」や「天ぷらうどん」ならすぐに思い浮かぶものの、「コロッケそば」はどちらかというと東京の食べ物というイメージがあります。

ところが調べてみると、なんと「コロッケそばは大阪発祥ではないか」という説もあるのです。

今回は「コロッケそば大阪」をテーマに、そもそもコロッケとはどんな食べ物なのか、その歴史からコロッケそば誕生の謎、大阪であまり定着しなかった理由、さらに大阪でコロッケそばを探すならチェックしておきたい駅そばのお店まで紹介します。

そもそもコロッケとは?ルーツはフランス料理の「クロケット」

まずはコロッケそのものの歴史から見てみましょう。

コロッケのルーツとされているのは、フランス料理の「クロケット(croquette)」です。

日本政府の広報では、19世紀末ごろに日本へ伝わったフランス料理のクロケットがコロッケの由来とされています。もともとのクロケットはベシャメルソースなどを使った料理でしたが、当時の日本では乳製品の加工技術が十分ではありませんでした。そのため、じゃがいもを使った日本独自のコロッケへ変化していったと考えられています。

今では当たり前のポテトコロッケですが、実はかなり日本的な洋食なのですね。

明治時代にはまだ高級な西洋料理でしたが、大正時代になると家庭にも広がりました。農林水産省によれば、コロッケは大正期に広く親しまれ、とんかつなどと並ぶ代表的な洋食となっていきます。

さらに戦後、冷凍食品の技術が進歩したことも大きな転機でした。日本コロッケ協会によると、1953年には学校給食用の冷凍コロッケが開発されています。

安い、ボリュームがある、作り置きもしやすい。

この特徴が、のちに立ち食いそばとの組み合わせにつながったと考えると、コロッケそばの誕生も納得できます。

コロッケそばとは?サクサクから「つゆ染み」への変化が魅力

コロッケそばは、その名の通り温かいそばにポテトコロッケをのせた料理です。

食べ方に厳密なルールはありません。

最初にサクサクの部分を食べる人もいれば、あえてコロッケを出汁に沈める人もいます。半分だけ浸すという人もいれば、最後にはコロッケを完全に崩して、じゃがいもをつゆに溶かしてしまう人も。

富士そばも「コロッケそば」を昔からある定番の一つとして紹介しており、コロッケを崩すことでじゃがいもの甘みやコクがつゆに加わる食べ方を取り上げています。

天ぷらそばとも違う、かき揚げそばとも違う。

衣の油、じゃがいもの甘み、そばつゆが一体化していくところこそ、コロッケそばのおもしろさなのでしょう。

コロッケそばは大阪発祥?「潮屋」と「箱根そば」の2つの有力説

さて、気になるのがコロッケそばの発祥です。

「大阪発祥」と紹介されることがありますが、調べてみると、これは断定できません。

現在よく知られるポテトコロッケをのせた駅そば型のコロッケそばには、複数の発祥説があります。

大阪で有力なのが、新梅田食道街にある「潮屋 梅田店」です。

潮屋梅田店は1969年11月に開店した老舗で、1969年ごろからカレー味の「コロッケそば・うどん」を販売していたとされています。現在でも実際にコロッケそばの提供が確認できます。

一方、関東には「名代 箱根そば」発祥説があります。

箱根そば側の証言では、正確な資料は残っていないものの、昭和40年代に下北沢店のオープン時からコロッケそばを扱っていたとされ、こちらも当初はカレーコロッケだったそうです。

つまり、1960年代後半ごろ、大阪と関東の駅そば・立ち食いそば文化の中で、ほぼ同じ時期に登場していた可能性があります。

そのため、「コロッケそばは大阪が発祥」と言い切るより、

「大阪・梅田の潮屋は、現代型コロッケそばの発祥店の一つとされる最古級の店」

と紹介するのが正確でしょう。

それにしても、大阪にも発祥説があるとは意外ですね。

なぜ関東では定番なのに大阪ではコロッケそばを見かけない?

ここが一番不思議なところです。

仮に大阪にもかなり早い時期からコロッケそばが存在したのであれば、なぜ大阪では広く定着しなかったのでしょうか。

明確に「この理由」と証明されたものはありませんが、いくつかの食文化の違いが関係していると考えられます。

大阪は「そば」より「うどん」の存在感が強い

まず大きいのは、関西、とくに大阪では昔からうどん文化が強いことです。

大阪の麺類といえば、昆布や節を利かせた出汁を味わううどん。「きつねうどん」「きざみうどん」「肉うどん」など、うどんを中心としたメニューが発達しました。

一方、首都圏では駅の立ち食い店における「そば」の存在感が強く、その中で天ぷら、かき揚げ、コロッケといった揚げ物をのせる文化が育っていったのでしょう。

関西では「出汁を味わう」意識が強い

もう一つ考えられるのが出汁との関係です。

大阪のうどん・そばは、昆布や節類の旨味を利かせた出汁そのものを楽しむ傾向があります。

ところがコロッケを入れると、衣から油が出て、さらにじゃがいもが溶け出します。

コロッケそばファンにとっては、これこそがおいしいところ。

しかし「澄んだ出汁を最後まで味わいたい」という関西的な感覚からすると、出汁の味が大きく変わってしまうコロッケは、少し異質だったのかもしれません。

これはあくまで食文化からみた一つの考察ですが、東西の出汁文化の違いがコロッケそばの普及にも影響した可能性はありそうです。

大阪でコロッケそばを食べるなら?駅そばをチェック

大阪では東京ほど簡単には見つからないコロッケそばですが、駅ナカや駅近のそば・うどん店では提供されてきました。

なかでも、まず食べてみたいのが次のお店です。

潮屋 梅田店|大阪のコロッケそばを語るなら外せない

大阪でコロッケそばを探すなら、筆頭はやはり「潮屋 梅田店」です。

場所はJR大阪駅すぐ、新梅田食道街。

1969年創業の老舗で、自家製生麺のそば・うどんを気軽に味わえる店として長年親しまれています。公式サイトでも、店内で茹でたてのそば・うどんと自慢の出汁を提供していることが紹介されています。

名物の一つがコロッケそば・うどんです。

特徴的なのは、カレー風味のコロッケ。

一般的なポテトコロッケとは違い、出汁を吸わせるとカレーの風味までつゆへ溶け出していきます。実食記録でも、カレー味のコロッケが出汁を吸いながら崩れ、味に深みを加える様子が紹介されています。

潮屋本店の店頭メニュー(コロッケ420円)現在提供中

大阪発祥説の一端を味わうという意味でも、一度食べてみたい一杯です。このお店、うどんが旨いので、筆者は何度も立ち寄っています。でも、残念ながら、コロッケそばは注文したことがありません(笑い)。今度、食べてみるかな。

都そば|関西を代表する昔ながらの立ち食いそば

「都そば」も関西の駅前でよく見かけるそば・うどんチェーンです。

現在、大阪だけでも梅田、梅田芝田、京橋、天満、福島、天王寺など多数の店舗を展開しています。

昔ながらの立ち食いそばらしく、注文してすぐに食べられる気軽さが魅力。

コロッケなど揚げ物系のトッピング・メニューは店舗や時期によって変わるため、コロッケそばを目当てにする場合は店頭メニューを確認しておくのがおすすめです。

梅田店は堂山町、梅田芝田店は芝田にあり、大阪駅周辺で探しやすいのも便利です。

南海そば|なんば駅の老舗駅そば

大阪の駅そばを語るうえで「南海そば」も外せません。

南海そばは1966年、なんば駅2階に第1号店をオープンしました。現在もなんば駅2階・3階、新今宮、天王寺などに店舗があります。

特徴は、駅そばでありながら店ごとに、かつおやうるめなどを使って出汁を仕込んでいること。そばをうどんや「黄そば」に変更できるのも大阪らしいところです。

過去には、関西では珍しいコロッケそばの提供例も確認されています。

ただし、2026年のなんば2階店の公開メニューではコロッケそばの掲載を確認できませんでした。メニューは変更される可能性があるので、訪問時に券売機や店頭で確認するのが確実です。

若菜そば|旧「阪急そば」の駅そば文化を受け継ぐ

阪急大阪梅田駅でおなじみなのが「若菜そば」です。

もともとは「阪急そば」として親しまれてきた店で、現在も阪急大阪梅田駅1号線ホームに店舗があります。営業時間は7時から22時、ラストオーダーは21時30分です。

こちらも、そば・うどんとさまざまなトッピングを組み合わせる昔ながらの駅そばスタイル。

ただし、現在公開されている公式情報ではコロッケそばが定番メニューとして明記されていません。コロッケ系メニューの販売状況は時期や店舗によって変わる可能性があるため、こちらも訪問時に確認してください。

店舗情報

潮屋 梅田店
住所:大阪府大阪市北区角田町9-28 新梅田食道街 味の一番街1F
アクセス:JR大阪駅から徒歩約2分、大阪メトロ梅田駅から徒歩約1分
営業時間:6:40~23:30
電話:06-6313-2714
※コロッケそばの提供を確認。

都そば 梅田店
住所:大阪府大阪市北区堂山町5-1
営業時間:7:00~22:00
定休日:1月1日~3日
※コロッケ系メニューは店舗・時期により変更の可能性があります。

都そば 梅田芝田店
住所:大阪府大阪市北区芝田2-9-20
営業時間:7:00~20:00
定休日:1月1日~3日

南海そば なんば2階店
住所:大阪府大阪市中央区難波5-1-60 南海なんば駅2階中央改札内
営業時間:7:00~22:00(L.O.21:40)
定休日:年末年始を除き原則なし

南海そば なんば3階店
住所:大阪府大阪市中央区難波5-1-60 南海なんば駅3階北口改札内
営業時間:7:00~23:00(L.O.22:40)
定休日:なし

若菜そば 阪急梅田店
場所:阪急大阪梅田駅1号線ホーム
営業時間:7:00~22:00(L.O.21:30)
定休日:年中無休
電話:06-6375-7751

※営業時間やメニューは変更される場合があります。とくにコロッケそばは店舗・時期によって販売状況が異なるため、最新情報をご確認ください。

まとめ|大阪発祥説もあるのに大阪では珍しい「コロッケそば」

関東では当たり前のように見かけるコロッケそば。

ところが大阪では、今でも「そんなそばあるの?」と思う人がいるほどマイナーな存在です。

それなのに、大阪・梅田の「潮屋」では1969年ごろからコロッケそば・うどんが販売されており、発祥店の一つともいわれています。

一方、関東の箱根そばにも昭和40年代発祥説があり、どちらが元祖なのかは今もはっきりしていません。

もしかすると、大阪にも誕生のルーツがありながら、大阪では「うどん」と「出汁」の文化があまりにも強かったため、コロッケそばだけが関東で大きく育っていったのかもしれません。

サクサクのまま食べるか、少しだけ出汁を吸わせるか。それとも思い切って崩してしまうか。

大阪で見つけたら、ぜひ一度試してみてください。

筆者も改めて思いました。大阪に住んでいても、まだまだ知らない大阪グルメがありますね。

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